一般角と弧度法①
一般角と弧度法
基本事項 |
1 一般角
平面上で,点Oを中心として半直線OPを回転させるとき,この半直線OPを動径といい,その最初の位置を示す半直線OXを始線という。
時計の針の回転と逆の向き(正の向き)に測った角を 正の角,
時計の針の回転と同じ向き(負の向き)に測った角を 負の角
という。
回転の向きと大きさを表す量として拡張した角を一般角という。また,一般角θ対して,始線OXから角θだけ回転した位置にある動径OPを,θの動径という。
2 象限の角
Oを原点とする座標平面において,x軸の正の部分を始線にとり,動径OPの表す角をθとするとき,動径OPが第1象限にあるなら,θを第1象限の角という。第2象限の角,第3象限の角,第4象限の角も同様に定める。
解説 |
<動径の表す角>
始線の位置を決めたとき,角が定まると動径の位置が決まる。しかし,動径の位置を定めても動径の位置を表す角は1つに決まらない。例えば,30°の動径OPと750°の動径は一致する。
一般に,動径OPと始線OXのなす角の1つをαとすると,動径OPの表す角は,
<象限の角>
例えば,動径OPが第3象限にあるとき,θを第3象限の角という。
なお,動径OPが座標軸に重なるときは,θはどの象限の角でもないとする。
例 (1)150°第2象限の角
(2)一480°=一120°+360°x(一1)=240°+360°×(一2)
第3象限の角
(3)1000°=一80°+360°x3=280°+360°×2
第4象限の角
基本事項 |
3 弧度法
半径rの円で,半径に等しい長さの弧ABに対する中心角の大きさは,半径rに関係なく一定である。この角の大きさを1ラジアン(1弧度)といい,1ラジアンを単位とする角の大きさの表し方を弧度法という。これに対し.直角を90°とする角の大きさの表し方を度数法という。
力学 質点の静力学 ・一直線上の力のつり合い
力学
質点の静力学
・一直線上の力のつり合い
1 力の大きさ
〔A〕
物体を作っている物質の分量を質量という. キログラム(kg),グラム(g)は質量の単位である. 質量(mass)はm或はMで表わす。 |
例「フラスコが100ℊある」というのは「フラスコを作っているガラスの分量が100gある」ということである。
注意 質量という言葉はわかりにくい。しばらくこのように理解しておき,後に考える。
〔B〕
地球上の物体は地球に引かれている。 物体を地球が引く力を重力といい, 重力の大きさを重さ(重量)という。 重力或は重さ(weight)はW或はwで示す。 同じ場所では,重さは質量に比例する。すなわち W=mg (gは比例定数) |
例 図のように,物質の量(質量)が2倍になると(m‘=2m)。地球が引く力の大きさ(重さ)も2倍になる。
(W‘=2W)。
注1「Wがmに比例する」はW=kmと書くのが普通であるが,重力の場合は比例定数にkを用いないでg用い,gmとしないでmgで表わす。
注2この比例定数gは,(§8-1)で述べるように,重力加速度とよばれるものである。グラムの「g」と混同しないように,次の字体(g)を用いることにする。
§8-1 重力加速度
〔A〕 手にもった物体をはなすと落ちて行き,次第にはやくなる。また投げ上げられた物体は次第におそくなる。どちらの場合も,物体は鉛直下向きの加速度をもって運動する。この加速度は地球が物体を引く力 即ち 重力(gravity)によって生ずる よって,これを
重力加速度といい,普通 g という記号で示す。
〔B〕 空気の抵抗や浮力がなければ,どの物体も等しい加速度で落ちていく(実験でわかる)。即ち,重力加速度はどの物体についても等しく,物体の種類・質量・体積に関係しない。
〔C〕
重力加速度gの値は,地球上の場所により僅かに違う。 大体9.80m/s2位で,通常の計算ではこの値を用いる。
g=9.80m/s2=980cm/s2
標準には,北緯45°の海面上の値9.80665m/s2を用いる。 |
〔C〕 力の単位にはキログラム重(kg重,㎏w),グラム重(g重,gw)が用いられ,これを力の重力単位という。重力単位のほかにニュートン(N),ダイン(dyn)などの絶対単位も用いられる。
1kg重 は 質量1kgの物体を 地球が引く力の大きさである。 |
例 指が物体を引く力Fが100g重であるということは(図b),質量100gの物体を地球が引く力(図aのW)と同じ大きさであるという意味である。
注1 1kgwは1kilogramweight 1キログラムの重さ(1kg重)の意味。
注2 物理では,kgは質量の単位であり,重さ(力の大きさ)の単位にはkg重を用いる。工学では,物理のこの「kg重」を「kg」とよんでいる。
このように使ったkgを重量キログラムという。
ガイド1 質量は物質の量,重さは力の大きさで別のものである。
質量はkg,重さはkg重。「重」をつけることを忘れるな
注 質量と重さを混同すると力学がわからなくなる.「質量1kg」「重さ1kg重」と区別して使え。
ガイド2 質量mが2kgであれば,mgは重さだから2kg重と記せ。
〔D〕 力の大きさを測るのにばねが用いられる。引かれると伸び,押されると縮む。自然の長さℓ₀のばねが力Fで引かれたときのばねの長さをℓとすれば,伸びはⅹ=ℓ―ℓ₀
ばねが受ける力Fとばねの伸び(縮み)xは比例する。 F=kx |
ガイド =kは比例すると読めkはばねのもつ定数で,Fやxが変わっても変わらない。だから,xが2倍になればFも2倍になり,上式はFとxが比例することを示している。
注1 力(Force)はFであらわす。Fと書いてあれば,力を思い浮かべよ。
例 質量100gの錘をつるしたときと,指で引いたときとの伸びが共にx=4cmで等しいならば(図b,c),引く力Fは100g重であるさらに力を増して,x'=8m伸びる場合には(図d),引く力F´はFの2倍の200g重である。ばねを押すときも同様で(図e),指の押す力Fは縮んだ長さxに比例する.
注2 あまり伸びが大きくなり,弾性の限界を越すと,比例しなくなる。
(例題) 12g重の力で引けば3cm伸びるばねに,或る力を加えたところ,自然の長さより5cm短くなった。ばねの端に働く力はいくらか。 |
解く F=kxにおいて,x=3cmのとき
F=12g重であるから。
k=F/x=12g重/3㎝=4g重/㎝
よって,5cm縮んでいるときは
F=kx=4g重/cm×5cm=20g重…(答)
の力で,押されている。
〔E〕 この比例定数kはばね定数とよばれ,ばねを1cm(m)伸び縮みきせるに要する力の大きさを示す。
N/m,dyn/cm,kg重/m,g重/cmなどの単位で表わす。
注 N/mは「ニュートン毎m」,g重/cmは「g重毎cm」,等と読む。
例 k=4kg重/cmは「このばねは1cm伸ばすのに4kg重の力を要する」の意味。
ガイド 力Fはばねの長さℓに比例する F=kℓ ではない。
伸び x=ℓ-ℓ₀ に比例する F=k(ℓ-ℓ₀)である。
〔F〕ばねに物体をつるし,地球上の各地で伸びを測ると,同じばね,同じ物体であるのに,伸びが僅かではあるが違う。ゆえに,1つの物体の重さは地球上の場所により違う。
例 或る金塊をばねにつるし,北極で重さを測ると,伸びは9.83cmであったとすれば,赤道上では,9.78cmになって,少し軽くなる。また富士山の頂上での伸びは,ふもとでの伸びより少し小さく,頂上では少し軽い。月の世界にもっていけば,重さは約1/6となる。
〔G〕 しかし,物体をつくっている物質の量は変わるはずがない。そこで,場所が変っても変わることのない量を各物体に考え,質量と名付けたわけである。同じ場所では,物質の量を1/2にすれば,地球が引く力の大ききも1/2となり,重さは質量に比例する。これを
〔1.B〕で W=mg
で表わした。一つの物体の質量mは場所によって変わらないから,重さWが場所により違うのは,比例定数 g (重力加速度)が場所により違うからである。上の比例関係から,同じ場所では,重さをくらべることにより,質量をくらべることができる。その基準として国際キログラム原器をとり,その質量を1kgと名付け,他の物体の質量はこれと重さをくらべることによりきめる。